かたるべきこと

サブカル感想備忘録

映画を見る時、つい探してしまうあるシチュエーション

 

 はじめましての挨拶代わりに、大好物の話をしておきたいと思う。無論食べ物の話じゃなく、創作物で時に描かれるあるシチュエーションの話。

 

 あらゆる創作物に触れる際に無意識に探していて、ドストライクなものに不意に出会えると涙してしまうことすらある、いわば俺特効のシチュエーションがある。

 それが「ふとした瞬間にモブの信念が垣間見えるシーン。」モブとは言ったものの、名前なしのエキストラ~脇役程度までちょっと守備範囲が広い。あまりにも好き過ぎて、一つのセリフやワンカットから勝手に設定を汲み取って妄想を膨らませて勝手に泣くことすらある。マイオナ人間の本領発揮なのである。

 

 逆に「面白いモブ出してウケ狙ったろ」的な製作者の意図を汲み取った場合はガン萎えである。そういうのは俺が勝手にやるからほっといてくれと吐き捨てざるを得ない。

 

 愛すべきモブたちの、大袈裟に出しゃばらず、本筋にも細い繋がりしか持たないささやかさ。スポットライトが当たらない舞台端でも演技をやめない健気さ、あるいは職人めいた誇り。それらを「俺だけは見ているぞ」というバリ3のアンテナで拾っていくことに快感を見出すのである。

 

 実を言うとまだ自分の中で固まりきっていない概念なので、上手く伝えられている自信がない。ので、具体的にグッときた映画のワンシーンをいくつかざざっと挙げようと思う。大正義AmazonPrimeVideoのリンクも貼る。

 

 

 

※一応ネタバレに配慮して◎以下反転

 

ガルパン劇場版

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プラウダ高校のKVⅡが、カチューシャの撤退路を確保するために大学選抜チームに立ちはだかるシーン

 

 新鋭戦車パーシング複数台を相手取り、重戦車開発の過渡期の産物たるKVⅡで堂々と向かい合う勇姿。そして乗員のニーナとアリーナは取り回しの悪いKVⅡに嫌々乗っているのかと思いきや、「街道上の怪物、舐めんなよー!」という名台詞を言い放つのである。何度見てもマジ泣きしてしまう。なんならこの文章を書いているだけで鼻の奥がツンとする。冒頭エキシビションマッチでのコミカルな姿・マイペースな乗員からは想像もつかない、完全なる伏兵なのだ。

 カチューシャ様お気に入りのかーべーたんを宛がわれて、「仕方なく」しかしきっちり乗りこなし、勇敢さ・忠誠心とはかけ離れた性格の二人が「カチューシャの手助けをする」というスタンスで、エースたちと遜色ないほど勇敢に格上の敵とすら戦ってみせるギャップ。きっとカチューシャに繰り返し聞かされただろうKVⅡの戦時中の逸話そのままに。本当にたまらない。

ガルパンは通常のアニメではありえないほどの人数のキャラを出しつつも、その個性をたった一つのシーンで描き切って見せる化け物アニメだと思う。

 

 

 

②グレイテストショーマン

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街ののけもの・はぐれ者たるサーカス団員たちが、最初の公演で胸を張ってスポットライトを浴びる姿

 

 ミュージカルシーンの歌詞が堂々と自己を肯定していてたまらなく泣ける。隅に追いやられていたマイノリティたちが、同じ境遇の者たちの存在を知り、虐げられていた自分たちのままで輝ける道を行く、最初の一歩なのである。

 彼らをサーカスに勧誘した興行師・バーナムの意図がこの時点ではただの金儲けで、観客も面白半分であったとしても、その一歩の価値は決して失われないと信じる。

 

 

 

ゴジラ キングオブモンスターズ

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 嵐を従えたキングギドラのこの世ならざる神々しさや、ラストバトル時に街に降り立つだけでビルを融解させていくゴジラの比類なき力の権化っぷりを目の当たりにすると正直笑ってしまう(人は尊いものを見て感情が閾値を超えると泣くか笑うのである)のだが、それとは関係ない泣きポイントとして。

 

ラドンの圧倒的空戦能力に成すすべがなくとも、決して諦めず戦いを挑む米空軍戦闘機パイロットたち

 

 怪獣映画においては現代兵器はもっぱらやられ役なのであるが、「怪獣オタク」たるドハティ監督がこのマッチアップにおいて伝えたかったものは、ラドンの強さ「だけ」ではないと感じた。視聴者は空でラドンに戦いを挑むという行為が悪手であるということを知っているが、パイロットたちはそんなことはお構いなしに持てる力量と戦術の限りを尽くして挑むのである。軍人たる彼らは戦場を選べず、鋼の意志で未知の敵相手でも訓練通りに戦う。その気高さとある種の健気さが胸を打つ。

 この「名もなき兵士たちの気高さ」に関しては割と鉄板で好きな題材で、最高峰は(映画じゃないけど)チームナックスの公演PARAMUSHIRの最終盤、重い軍旗を命がけで振り続ける兵士。泣く。

 

 

 

 

 

 語るべきことはまだまだあるけど、今回はこんなところで。

 自分の心に響いたシチュエーションを集めて行けば、自分が何を求めているのかが分かるのではないかと思ってつらつら書いてみた。ちょくちょく書き出していきたい。

 

 

 最後まで読んでくれてあざす。少しでも共感できる部分があったなら嬉しい。

 あと「そういうシチュエーションならこの作品で見たよ」とか「こういうのは琴線に触れる?」っていう話があれば気軽にコメントしてくれると嬉しい。こっちも気軽に読むので。