かたるべきこと

サブカル感想備忘録

陽キャにあだ名をつけられた

「今まで経験した中で最大の痛みは?」と聞かれれば、親不知の抜歯・陥入爪の切除手術・チャリでコケて顔面イッた時が横一列に並びます。どうも、反逆の大号令です。

 

 

「屈強な男性でも泣きわめくレベルの激痛」みたいな表現って一般的だけど、男性よりも女性の方が痛みに強いってのはよく聞く話。

 

 

さらに出産時の激痛なんて女性じゃなきゃ耐えられないとも聞く。

 

 

この手の性差の一部だけを切り取って優劣を決める議論って総じて罠で、男性諸氏は土俵に上がることすら拒否った方が良いと個人的に思う。

 

 

何せ出産の痛みを経験する方法がない以上「じゃあお前金的食らったことあるんか!?」とクッソ情けない水掛け論に持って行くしかなく、結果社会的に見ても有益な、新たな生命を生み出す神秘的行為VS痴漢撃退法の1行目に書いてあるやつというゾウとアリの喧嘩をすることになるから。

 

 

そもそもオスなんてのは内臓の一部たる睾丸をほぼ体外に露出させている悲しきモンスター、体内深部体温に耐えられないよわよわ精子くんを然るべきところまで運ぶ決死の運び屋なのである。優しくしてやって欲しい。

 

 

 

急に痛みの話から始めたのは、今回生まれて初めて整体に行ったからである。

 

骨盤矯正と称して股関節バキバキされたりそこここに針を刺されたりするやつという薄い印象しかなく、特別興味もなければ行く必要も感じていなかった。

 

訪問した最大の理由は……

 

youtu.be

 

我らが委員長が東洋医学の針治療を受けたと話していたからである。

 

そう、ぼくらは委員長キッズ。行くしかねぇ。

 

 

 

とはいえかつて不眠症に悩まされた時期はあったけれど今はスヤスヤ眠れている。

 

朝昼晩と飯を食い昼働き夜眠り、週一で10kmジョギングをしている健康優良児ゆえ、健康上の事由なぞ皆無。

強いて言うなら業務が立て込むとたまに左肩ピリピリするかも、という程度。

これを肩こりということにして、近所の整体・鍼灸院に行くことにした。

 

 

 

 

結論、普通に肩こってて腰も張ってるんで3日おき、最悪でも週一で通ってくださいとの診断だった。デスクワーカーの悪いとこ出た。

 

 

提示された施術は

・肩こり解消のマッサージ

・こりづらい体づくりのための猫背矯正

眼精疲労除去のための鍼治療

の三本立て。針きちゃ!

 

冒頭でも述べた通り、自分は人生において致命傷を受けた履歴がないので痛みに強いかどうかよく分からないある意味ラッキーボーイ。致命傷受けたニキは成仏してクレメンス。

今回施術を受けることを決めたのには怖いもの見たさも多分にあり。

グリム童話に倣い「一度でいいからぞっとしてみたいものだ」の精神で、いざ整体。

 

 

 

 

マッサージ、普通に気持ちよかった。

 

思い返しても嫌だったことなんてうつ伏せになる時マスク付けっぱだったから息苦しかったくらいしかない。ただただ気持ちよかった。

人に触れられるだけでセロトニンが分泌されて副交感神経優位になっちゃうってのに、プロが確固たる目的を持ってこりをほぐしてくれるんだもの。こんなん毎週通っちゃうよ。

 

ただ一つ問題があるとするなら、担当のお兄さんお姉さんが美容院かってレベルでめっちゃ話しかけてくる

 

給料の発生しないところで世間話なんざしたかねぇマンであるがゆえに、このお兄さんも施術中の事故回避のためお客さんをリラックスさせるべきという業務上の要請で世間話をしかけてくるのだということを理解できてしまう。これが資本主義の敗北……。

 

マッサージが済み鍼治療へ。

こちらは髪の毛くらいほっそい針を5本~10本程度顔周りに刺すというもので、どこに刺されたとて蚊に刺された程度にしか感じない。元より献血大好き野郎なので針に苦手意識はないのもある。

 

そんなこんなでこめかみや生え際近辺に針を生やしたまま、そういやファイナルデスティネーションにこんなシーンあったな、という最悪の連想ゲームをしながら待つこと5分ほど。

針を抜き目を開くと、めちゃくちゃ疲労が取れている。劇的。

単に目を5分間閉じて休ませたからじゃねぇの? と世界の全てを疑う闇の人格が囁くが黙殺する。

 

 

最後は猫背矯正。猫背はてっきり背骨の問題なのかと思っていたが、肩甲骨が開いて肩の位置が前に行くから猫背になるのだとのこと。頷ける話ではある。

 

正常な位置まで肩を移動させれば、この場合は閉じれば、自然と胸を張る形になり猫背が解消され首周りへの負担が減るとか。

 

台の中心に寝かせた太めの棒っこの上に、肩甲骨の中心を乗せる形で仰向けに寝る。浮いた両肩・腕を使ってゆっくりバンザイしたりなんだり、という施術を受ける。半袖で行くと腋毛が見えて恥ずかしいから長袖を着ていけ。

 

 

これを担当してくれたのは小柄な明るい女性で、施術中割と話しかけられて困った。

 

男子高出身の陰キャに女性相手の会話テクなんてものはない。

申し訳ないが引き出されるに任せていた。

 

陰のオタクに「週末何してます?」と聞くと、スパロボにおけるファンネル武装の命中率くらいの確率で「映画見てます」と返ってくるのは豆知識。

 

洋画→YES/NO

アクション→YES/NO

 

で絞られていく過程はアキネイターみたいでちょっと面白かった。

 

TAXIとかミッションインポッシブルとかじゃないですか!? まで絞られると曖昧に頷くしかないのだが、正直見たことはない。

 

実際見るのは銃と怪物がセットで出てくるタイプの映画ばかりなのである。

 

人に言っても引かれないラインにはいつも頭を悩ませるけど、アベンジャーズはギリ問題なかろうと思いそう答えた。

 

あー知ってますよ。女性でツルツルの師匠が死んじゃうやつですよね。

 

「(!?)あーそういう話もありますね。シリーズたくさんあるんで」

 

 

ドクターストレンジのことだな、と瞬時に理解はしたものの、正直意識外からの一撃だったので曖昧に頷くしかない。

 

 

アベンジャーズをもし知っていたとしても、アイアンマン? って飛び方ダサくないですか? とかハルクキモくないですか? 程度の感想だろ、という想像の遥か上を行かれて一瞬意識を刈り取られてしまった。

 

 

当然特に盛り上がらず、お仕事は? とか出身は? とか楽しくない方向に舵を切られてしまった。

 

 

単体で見てもあんまおもしくないドクターストレンジを、アベンジャーズ代表として紹介し一本だけ見せた友達なり彼氏なりを恨むしかない。

 

 

人の経歴の話は究極どう転んでも褒めるしかないものなので話題として詰まらないと思う。困りつつ答えていく。

 

 

その流れで出身大学の話になり、しぶしぶ答えるもピンと来てなかったっぽかったのでニューイヤー駅伝によく出てるとこです、と答えたところ

 

 

 

 

すごいですね! じゃあ『かしこいクン』ですね

 

 

 

 

か、かしこいクン……!?(文字数を鑑み、からあげクンに準えているとみてクンと書いた)

 

 

これって陽キャが多用するっていう適当なあだ名付けを、実際にやられた……ってこと!?

 

 

陽キャと接点がなく、これからも恐らく避けて通るであろう自分にとって、ある意味で本当に得難い経験をしてしまった。

 

冷静になって考えて見ると、会話の組み立てによっては『オタクくん』と名付けられていた可能性もゼロではない……というか未強化リアルロボットのバズーカ武装の命中率くらいにはあり得ていたのではないか。

手の届く距離にファンタジーの実在を感じる……。

 

 

「オタクに優しいギャルもそうさ!! 必ず存在する!!!」

 

 

心の中の黒ひげが目を覚ます、そんな整体・鍼灸院。

職場と家以外に社会との接点がない社会人陰キャにオススメです。俺がそう。

 

 

 

 

施術の痛みは体の具合に左右されることが分かり、逆に自分の健康を再認識することになった。

夢はそこら中に転がっていることにも気づけた。

新たなジャンルに踏み込んでみて良かった……ありがとう委員長……。

 

以上、反逆の大号令でした。