陽キャにあだ名をつけられた
「今まで経験した中で最大の痛みは?」と聞かれれば、親不知の抜歯・陥入爪の切除手術・チャリでコケて顔面イッた時が横一列に並びます。どうも、反逆の大号令です。
「屈強な男性でも泣きわめくレベルの激痛」みたいな表現って一般的だけど、男性よりも女性の方が痛みに強いってのはよく聞く話。
さらに出産時の激痛なんて女性じゃなきゃ耐えられないとも聞く。
この手の性差の一部だけを切り取って優劣を決める議論って総じて罠で、男性諸氏は土俵に上がることすら拒否った方が良いと個人的に思う。
何せ出産の痛みを経験する方法がない以上「じゃあお前金的食らったことあるんか!?」とクッソ情けない水掛け論に持って行くしかなく、結果社会的に見ても有益な、新たな生命を生み出す神秘的行為VS痴漢撃退法の1行目に書いてあるやつというゾウとアリの喧嘩をすることになるから。
そもそもオスなんてのは内臓の一部たる睾丸をほぼ体外に露出させている悲しきモンスター、体内深部体温に耐えられないよわよわ精子くんを然るべきところまで運ぶ決死の運び屋なのである。優しくしてやって欲しい。
急に痛みの話から始めたのは、今回生まれて初めて整体に行ったからである。
骨盤矯正と称して股関節バキバキされたりそこここに針を刺されたりするやつという薄い印象しかなく、特別興味もなければ行く必要も感じていなかった。
訪問した最大の理由は……
我らが委員長が東洋医学の針治療を受けたと話していたからである。
そう、ぼくらは委員長キッズ。行くしかねぇ。
とはいえかつて不眠症に悩まされた時期はあったけれど今はスヤスヤ眠れている。
朝昼晩と飯を食い昼働き夜眠り、週一で10kmジョギングをしている健康優良児ゆえ、健康上の事由なぞ皆無。
強いて言うなら業務が立て込むとたまに左肩ピリピリするかも、という程度。
これを肩こりということにして、近所の整体・鍼灸院に行くことにした。
結論、普通に肩こってて腰も張ってるんで3日おき、最悪でも週一で通ってくださいとの診断だった。デスクワーカーの悪いとこ出た。
提示された施術は
・肩こり解消のマッサージ
・こりづらい体づくりのための猫背矯正
・眼精疲労除去のための鍼治療
の三本立て。針きちゃ!
冒頭でも述べた通り、自分は人生において致命傷を受けた履歴がないので痛みに強いかどうかよく分からないある意味ラッキーボーイ。致命傷受けたニキは成仏してクレメンス。
今回施術を受けることを決めたのには怖いもの見たさも多分にあり。
グリム童話に倣い「一度でいいからぞっとしてみたいものだ」の精神で、いざ整体。
マッサージ、普通に気持ちよかった。
思い返しても嫌だったことなんてうつ伏せになる時マスク付けっぱだったから息苦しかったくらいしかない。ただただ気持ちよかった。
人に触れられるだけでセロトニンが分泌されて副交感神経優位になっちゃうってのに、プロが確固たる目的を持ってこりをほぐしてくれるんだもの。こんなん毎週通っちゃうよ。
ただ一つ問題があるとするなら、担当のお兄さんお姉さんが美容院かってレベルでめっちゃ話しかけてくる。
給料の発生しないところで世間話なんざしたかねぇマンであるがゆえに、このお兄さんも施術中の事故回避のためお客さんをリラックスさせるべきという業務上の要請で世間話をしかけてくるのだということを理解できてしまう。これが資本主義の敗北……。
マッサージが済み鍼治療へ。
こちらは髪の毛くらいほっそい針を5本~10本程度顔周りに刺すというもので、どこに刺されたとて蚊に刺された程度にしか感じない。元より献血大好き野郎なので針に苦手意識はないのもある。
そんなこんなでこめかみや生え際近辺に針を生やしたまま、そういやファイナルデスティネーションにこんなシーンあったな、という最悪の連想ゲームをしながら待つこと5分ほど。
針を抜き目を開くと、めちゃくちゃ疲労が取れている。劇的。
単に目を5分間閉じて休ませたからじゃねぇの? と世界の全てを疑う闇の人格が囁くが黙殺する。
最後は猫背矯正。猫背はてっきり背骨の問題なのかと思っていたが、肩甲骨が開いて肩の位置が前に行くから猫背になるのだとのこと。頷ける話ではある。
正常な位置まで肩を移動させれば、この場合は閉じれば、自然と胸を張る形になり猫背が解消され首周りへの負担が減るとか。
台の中心に寝かせた太めの棒っこの上に、肩甲骨の中心を乗せる形で仰向けに寝る。浮いた両肩・腕を使ってゆっくりバンザイしたりなんだり、という施術を受ける。半袖で行くと腋毛が見えて恥ずかしいから長袖を着ていけ。
これを担当してくれたのは小柄な明るい女性で、施術中割と話しかけられて困った。
男子高出身の陰キャに女性相手の会話テクなんてものはない。
申し訳ないが引き出されるに任せていた。
陰のオタクに「週末何してます?」と聞くと、スパロボにおけるファンネル武装の命中率くらいの確率で「映画見てます」と返ってくるのは豆知識。
洋画→YES/NO
アクション→YES/NO
で絞られていく過程はアキネイターみたいでちょっと面白かった。
TAXIとかミッションインポッシブルとかじゃないですか!? まで絞られると曖昧に頷くしかないのだが、正直見たことはない。
実際見るのは銃と怪物がセットで出てくるタイプの映画ばかりなのである。
人に言っても引かれないラインにはいつも頭を悩ませるけど、アベンジャーズはギリ問題なかろうと思いそう答えた。
あー知ってますよ。女性でツルツルの師匠が死んじゃうやつですよね。
「(!?)あーそういう話もありますね。シリーズたくさんあるんで」
ドクターストレンジのことだな、と瞬時に理解はしたものの、正直意識外からの一撃だったので曖昧に頷くしかない。
アベンジャーズをもし知っていたとしても、アイアンマン? って飛び方ダサくないですか? とかハルクキモくないですか? 程度の感想だろ、という想像の遥か上を行かれて一瞬意識を刈り取られてしまった。
当然特に盛り上がらず、お仕事は? とか出身は? とか楽しくない方向に舵を切られてしまった。
単体で見てもあんまおもしくないドクターストレンジを、アベンジャーズ代表として紹介し一本だけ見せた友達なり彼氏なりを恨むしかない。
人の経歴の話は究極どう転んでも褒めるしかないものなので話題として詰まらないと思う。困りつつ答えていく。
その流れで出身大学の話になり、しぶしぶ答えるもピンと来てなかったっぽかったのでニューイヤー駅伝によく出てるとこです、と答えたところ
すごいですね! じゃあ『かしこいクン』ですね
か、かしこいクン……!?(文字数を鑑み、からあげクンに準えているとみてクンと書いた)
これって陽キャが多用するっていう適当なあだ名付けを、実際にやられた……ってこと!?
陽キャと接点がなく、これからも恐らく避けて通るであろう自分にとって、ある意味で本当に得難い経験をしてしまった。
冷静になって考えて見ると、会話の組み立てによっては『オタクくん』と名付けられていた可能性もゼロではない……というか未強化リアルロボットのバズーカ武装の命中率くらいにはあり得ていたのではないか。
手の届く距離にファンタジーの実在を感じる……。
「オタクに優しいギャルもそうさ!! 必ず存在する!!!」
心の中の黒ひげが目を覚ます、そんな整体・鍼灸院。
職場と家以外に社会との接点がない社会人陰キャにオススメです。俺がそう。
施術の痛みは体の具合に左右されることが分かり、逆に自分の健康を再認識することになった。
夢はそこら中に転がっていることにも気づけた。
新たなジャンルに踏み込んでみて良かった……ありがとう委員長……。
以上、反逆の大号令でした。
課金反省文
無職の身でソシャゲ課金で8万溶かしてしまった。
まずは予算をどこから工面したかの話をする。
ある以上の金は使わないという最低限の良識は持っているので(本当に最低な最低限だ)、箪笥貯金から支出した。クズなりに借金だけはしないというポリシーを持って生きてきたが、かといって貯金はしないクズの身である。それでも初就職だった前職で生まれて初めて得たボーナスとなれば、流石に意味のあることに使いたくて保留していた。使ったのはそれだ。手取りの半額、就職1年目に半ばお情け的に与えられたボーナスだった。
職場の上司に嫌われて2年経たずに辞めることになった前職に良い思い出は一つもなかった。向こうからすれば縁故で取った中途の新人、必死で社会に馴染もうという気概がないと分かれば雇い続ける理由もなかった訳で。私の心は3年を費やしとうとう芽が出なかった資格勉強で幾分か萎えており、驚くほど受け身になっていた。中途の分際で「教えてくれればできる自信はある」という新卒めいた姿勢だったのが良くなかった。建前ではどう言っていても「手をかけなくても勝手に育って欲しい」という気怠さがにじみ出ている高齢化著しい停滞した職場には絶望的に噛み合わなかった。
そんなこんなで無職となり再就職までの繋ぎに職業訓練に通う現状、少額とはいえ退職金が出たのもあり当座の生活に不安はなかったが、収入が失業給付のみでは先がない。要するに手元にあるのは使わない方が良い金。
それでも使ったのは5年ログインを絶やしたことのないソシャゲの5周年記念で実装されたいわゆる環境キャラを引くためだったからだ。どちらかといえば自分はエンジョイ勢であり、またそのゲームは人と競う要素の少ないものであった。フレンドに対して肩身の狭い思いをすることになったとしても、引きに行かないという選択肢もあった。実際長年の友人と通話して無償分のリソースで回すまでは、それで出なければ諦めると決めていた。結果としてそれが呼び水となって、通話を切った後真っ暗な部屋で8万溶かしたのである。そう、結局出なかった。
正直に言って、規模は小さいながらもこのゲームで似たような経験を重ねてきた。ゆえに最早感情の振れ幅は限りなく小さくなっていて、残ったのは悔しさでも悲しみでもなく虚無だった。一生こんなことを繰り返すのか? という自らへの問いかけだった。この文章を書くと決めたのは、現状少なくない価値を持つ8万円をドブに投げ込んだことを、放っておいたら忘れてしまうのではないかという危惧からだ。
笑い飛ばしてくれる友人、ないし叱ってくれる家族がに近くにいればまた感じ方も違ったのかもしれないが、故郷を離れた孤独な身にはどちらも存在しない。社会性を養ってこなかった人生ゆえ、社会性のないふるまいをしてしまうし、それによって抱くべき後悔も抱かない。
幸いだったのは犯罪と無縁な人生を送ってきたために、この危うい金銭感覚が社会悪と結びつかなかったことだ。とはいえこのふらふらした状態で社会を歩き続けたなら、近く詐欺や宗教の手にコロリと落ちてしまいそうだな、と実感はないが思う。それは避けたい。せめて「普段何してるか分からないけど人に迷惑はかけなさそう」な人間でありたい。
長くなったが、いや反省文としてはこれでも短いと思うが、二度と「稼いだ実感のない金」で課金をしないことを誓う。他に使い道もないし……という消極的な理由で課金をするなら、それは逃避に他ならない。世の中の趣味について見分を広め、8万あればどんなことができるかを知ろうと思う。その上で課金がしたいと思ったなら、その時初めて自分の意志で課金をしたと言えるだろう。
ネットに個人情報を書き連ねてしまったのには多少の後悔があるが、何年後かの自分が恥ずかしくなって消すまでは残しておきたい。見る人も少ないし、隠すほど価値のあることも書いていないと思う。
最も使い慣れたこの文体で書いたが、現状どこにも振り切れていないこの滑稽さの種を、大事に育てて行けば俗な文章書きへの道が開けたりするのかもしれない。精進する。
前期何見た?
コロナ禍の関係で延期になったアニメも多かったんで、最後まで見られてないものもある。ギャルと恐竜の最終話とか絶対またなんかしら禁じ手使ってきただろうなぁ。ポプテピ式の蒼井翔太介入エンドは序盤で使ってたから正直想像つかなくて楽しみだったんだけども。いつ放送なのか分からんけど待とう。
2020春アニメ一覧
https://www.animatetimes.com/tag/details.php?id=5228
前期放送で最終話まで見たのは以下の4つなんで、順繰りに感想なぞ。
・乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…
・LISTENERS
我らが月ノ美兎委員長が1話・6話・12話の同時視聴配信をしてた関係でリアタイ視聴してたやつ。絶妙な配分で繰り広げられるギャグとシリアスをほっこり親子愛で包んだ、久米田おなじみジャンル分けしづらい名作。委員長が久米田康治を指して「最終回の天才」と評した通り、技ありな最終回のおかげで視聴後感がはちゃめちゃに良い。
作者の体験を元に描かれてるけど創作も多分に含まれてる、創作自伝形式という繋がりで西尾維新の少女不十分を思い出したりした。あと全然違うけど甘々と稲妻もちょっと見直したくなった。
漫画全巻買ってるんで当然視聴。ミナレ姐さんの声をはじめキャスティングが理想に近くて、新興宗教潜入編をバッサリカットして原作最新刊の胆振東部地震に繋げたおかげで1クールでの完成度が完璧だった。ラジオっ子じゃないミナレ姐さんがラジオという媒体を認識して正しく向き合う段階まで持って行ってるから、ラジオ詳しくない一般視聴者と歩調を合わせたプロローグになってる。構成上手すぎんか?
原作勢として全体的な出来に特段文句はないけども、眼球の影独特っしたね。違和感はあるけど別にまぁ……検索フォームに波よ聞いてくれって入れたら「目の影」ってサジェストされてちょっと笑ったりはした。
これなら原作が十分な話数溜まり次第すぐに2クール目に入れるし、省かざるを得なかった話はBlu-ray特典のOVAとか箸休め回で使えばいいし。
ところで新興宗教潜入編の「電撃使いの沖さん」の一コマ、吹き出しだけの掛け合いなのにめちゃくちゃ面白いんよな。沙村広明の枠外とか小吹き出しでコントやる芸風狂おしいほどすき。メディアミックスでは再現できないのが惜しい。
通称はめふら。原作知らない勢だし慣れないジャンルだけどかなり楽しめた。
異世界転生ものって転生先の世界に対して無責任かつ遠慮がなかったり、主人公一人が異物なのに馴染む努力が一切なかったりしてキツいんだけど、この作品は主人公が舞台であるゲーム世界に思い入れがある関係でその辺の心配がいらないのが好印象だった。
ゲームにおける自分の役割は主人公の恋敵=悪役なんで、必然最終的に大方のルートで悪の報いを受ける訳だけど、そのフラグを折るためには作中の誰とも恋仲にならない+悪行を行わない、ってのが基本方針になる。ただ主人公は現代の倫理観を持ってる善人な上に命がかかってる関係で常に全力なんで、なんやかんや登場人物が抱えてる悩みやトラウマを片っ端から解決して行っちゃうっていう。ノリはコメディなのに、どの回も胸がスッキリする後味の良い話になってる。
結果関わった全員から感謝されて大切にされて男女問わない無自覚ハーレムという神ENDを迎えて1期が終わった。いや良いアニメだった。振り返ってみるとクリスマスキャロルの類型だから受け入れやすいってのもあったのかも。
これが今期一番の大当たりだった。音楽を主題にしたオリジナルロボットアニメってんで、ちょい取っつきづらくて3話まで見てから保留してたんだけど、4話見たらエンジンかかってラストまで一直線だった。特に7話のライドとリッチーの話はボロ泣きだったなぁ。このジャンルで1クールでってなったらこれ以上やりようないくらいのクォリティだったと思う。作品として尖ってたのは事実だからAmazonのレビューなんかは低いけど、そこもまぁミュージシャン的で良いんじゃないでしょかね。減点方式だと低めだけど加点方式なら1億点みたいな、そういう作品。俺の記憶にはばっちり残った。
……って言うと作画やらキャスティングやらストーリーに粗があった風に聞こえるだろうけど、その辺全部超一流だったんで。なんでこんな評価低いのか正直ようわからん。
注目ポイントは1話を除いてEDが毎回違う曲だったとこかも。ニンジャスレイヤーとはまた違くて。各話のシーンを構成し直した公式MAD、というよりMVに高橋李依歌唱のオリジナル曲って形。それがまた名曲揃いで、やるじゃんカゲプロの人! ってなった。
しかもつべでノンクレジットで全部見れる。ネタバレにもなるから本編後の視聴を推奨。俺が特に好きなのは6話の「Top of ocean」と7話の「Trauma」、あとやっぱり12話の「Listeners」だなぁ。
以上。今期(2020夏)はどうなるんでしょ。延期してたやつが始まったり再放送入ったりで割とカオスよね。コロナ禍でアニメ制作が止まった影響は半年後から出始めるみたいな話聞いたことあるんで、2020放送開始のやつは全部影響免れないんでしょうなぁ。いやだいやだ。
レディプレイヤーワン感想
今日の金ローでやってたやつ。劇場で一回見たけど、画面の情報量が異常な映画なんで機会あったら見直したかったんで見た。ので、雑な感想書いていきんす。
ちなわしゃがなで同時視聴やってたんでコメしながら見た。梶田さん首お大事に。
一番グッときたポイントは、やっぱガノタゆえ「俺はガンダムで行く」ですわ。ハリウッド映画でガンダムが飛んだり跳ねたりってだけで誇らしい気持ちになる。
「時間制限付きでどんな巨大ロボにでもなれる」っていう激レアアイテムを使って変身した訳なんだけど、ダイトウがゲーマー人生最大最高の晴れ舞台で選んだのが初代ガンダムってのが泣かせてくれる。いわばアバターなんで、戦闘モーションがダイトウのスタイルなのも乙なもの。そんな中で決め技がビグザム突きなのも悪くない。得物がジャベリンじゃないのはご愛嬌。そんで視聴二周目にしてダイトウのバイザーに初代ガンダムのロゴが表示されてたのに気づいて胸が熱くなった。
俺が同じシチュエーションに置かれたら、ダイトウと同じ時間だけ悩んで「俺はターンエーガンダムで行く」って言うと思う。本当はリックドムⅡ(コロニーカラー)で行くって言いたいのをこらえつつ。というのも見せる相手が全世界で、自分はガノタ代表な訳ですよ。となると選ぶ機体は知名度とスペック、そして思い入れが高次元でバランスしてないといけない。何を選んでもスペックが一律になると想定すると、量産機で大活躍はちょっとマイオナが過ぎるかなと。素手のザクⅡならドアンが乗ってる体で許されるかもしれんけど。……いやちょっと熱いな、いいぞ見たいぞ。
そう、完全に憶測だけどあの変身アイテムで変身したロボはゲームバランス的にもスペックとサイズ固定だと思う。縛りが巨大ロボだけだったらイデオンとかゲッターとかレオパルドンとかが悪さするし。
VRゲームが隆盛を極めてる近未来の話、と言われて連想するものといえば花沢健吾の漫画「ルサンチマン」、あと言わずと知れたソードアートオンライン。どちらもVR技術そのものよりは人工知能の方に重きを置いている作品で、VR世界で人がどう振舞うかの方を主眼としたレディプレと対照的かもしれない。ただまぁAI関連の話って主に倫理面で結論が出せてない部分が多すぎて、エンタメにするにはまだ重い。ので、バッサリ切った判断はハリウッドらしいっちゃらしい。いつか人間が人工知能と結婚できるくらい世界が成熟したらそういう話も出てくるのかもしれない。
あと外せないのは映画のパロディ。シャイニングの世界の質感が異常過ぎた。ハリウッド式の全力オマージュ、もはやコラボレベルの映像再現というのはそれだけで価値がある。かつてドラえもんの「絵本入りこみ靴」で感じたワクワクを久々に体験させてもらった。
総括としてはとにかくエンタメ全開。映画・ゲームファンへのレイドイベントと評したマフィア梶田は的確だった。パビリオンの展示を開催時間いっぱい覗いて回るような感覚で見るのが正解だと思う。
もちろん映画の筋に関しては「結論それでいいんすか」とか「敵の組織が全体的にガバガバ」とか色々思うところはありつつも、その指摘が野暮になる程度には高品質なエンタメ映画だった。というかゲームに対する向き合い方について、全オタクが納得する答えをスピルバーグに出されたら面目丸つぶれだ。
タイトルにある通り、プレイヤーの一人として楽しむべき体験型映画なんだろう。イマイチ響かんかったなって人は心のSTARTボタンを押し損ねたんだ。
といったところで以上。そういえばツイッターのガンダム系作品の公式アカウントが各々「俺はガンダムで行く」してたのが熱かった。
映画を見る時、つい探してしまうあるシチュエーション
はじめましての挨拶代わりに、大好物の話をしておきたいと思う。無論食べ物の話じゃなく、創作物で時に描かれるあるシチュエーションの話。
あらゆる創作物に触れる際に無意識に探していて、ドストライクなものに不意に出会えると涙してしまうことすらある、いわば俺特効のシチュエーションがある。
それが「ふとした瞬間にモブの信念が垣間見えるシーン。」モブとは言ったものの、名前なしのエキストラ~脇役程度までちょっと守備範囲が広い。あまりにも好き過ぎて、一つのセリフやワンカットから勝手に設定を汲み取って妄想を膨らませて勝手に泣くことすらある。マイオナ人間の本領発揮なのである。
逆に「面白いモブ出してウケ狙ったろ」的な製作者の意図を汲み取った場合はガン萎えである。そういうのは俺が勝手にやるからほっといてくれ、と吐き捨てざるを得ない。
愛すべきモブたちの、大袈裟に出しゃばらず、本筋にも細い繋がりしか持たないささやかさ。スポットライトが当たらない舞台端でも演技をやめない健気さ、あるいは職人めいた誇り。それらを「俺だけは見ているぞ」というバリ3のアンテナで拾っていくことに快感を見出すのである。
実を言うとまだ自分の中で固まりきっていない概念なので、上手く伝えられている自信がない。ので、具体的にグッときた映画のワンシーンをいくつかざざっと挙げようと思う。大正義AmazonPrimeVideoのリンクも貼る。
※一応ネタバレに配慮して◎以下反転
①ガルパン劇場版
◎プラウダ高校のKVⅡが、カチューシャの撤退路を確保するために大学選抜チームに立ちはだかるシーン
新鋭戦車パーシング複数台を相手取り、重戦車開発の過渡期の産物たるKVⅡで堂々と向かい合う勇姿。そして乗員のニーナとアリーナは取り回しの悪いKVⅡに嫌々乗っているのかと思いきや、「街道上の怪物、舐めんなよー!」という名台詞を言い放つのである。何度見てもマジ泣きしてしまう。なんならこの文章を書いているだけで鼻の奥がツンとする。冒頭エキシビションマッチでのコミカルな姿・マイペースな乗員からは想像もつかない、完全なる伏兵なのだ。
カチューシャ様お気に入りのかーべーたんを宛がわれて、「仕方なく」しかしきっちり乗りこなし、勇敢さ・忠誠心とはかけ離れた性格の二人が「カチューシャの手助けをする」というスタンスで、エースたちと遜色ないほど勇敢に格上の敵とすら戦ってみせるギャップ。きっとカチューシャに繰り返し聞かされただろうKVⅡの戦時中の逸話そのままに。本当にたまらない。
ガルパンは通常のアニメではありえないほどの人数のキャラを出しつつも、その個性をたった一つのシーンで描き切って見せる化け物アニメだと思う。
②グレイテストショーマン
◎街ののけもの・はぐれ者たるサーカス団員たちが、最初の公演で胸を張ってスポットライトを浴びる姿
ミュージカルシーンの歌詞が堂々と自己を肯定していてたまらなく泣ける。隅に追いやられていたマイノリティたちが、同じ境遇の者たちの存在を知り、虐げられていた自分たちのままで輝ける道を行く、最初の一歩なのである。
彼らをサーカスに勧誘した興行師・バーナムの意図がこの時点ではただの金儲けで、観客も面白半分であったとしても、その一歩の価値は決して失われないと信じる。
③ゴジラ キングオブモンスターズ
嵐を従えたキングギドラのこの世ならざる神々しさや、ラストバトル時に街に降り立つだけでビルを融解させていくゴジラの比類なき力の権化っぷりを目の当たりにすると正直笑ってしまう(人は尊いものを見て感情が閾値を超えると泣くか笑うのである)のだが、それとは関係ない泣きポイントとして。
◎ラドンの圧倒的空戦能力に成すすべがなくとも、決して諦めず戦いを挑む米空軍戦闘機パイロットたち
怪獣映画においては現代兵器はもっぱらやられ役なのであるが、「怪獣オタク」たるドハティ監督がこのマッチアップにおいて伝えたかったものは、ラドンの強さ「だけ」ではないと感じた。視聴者は空でラドンに戦いを挑むという行為が悪手であるということを知っているが、パイロットたちはそんなことはお構いなしに持てる力量と戦術の限りを尽くして挑むのである。軍人たる彼らは戦場を選べず、鋼の意志で未知の敵相手でも訓練通りに戦う。その気高さとある種の健気さが胸を打つ。
この「名もなき兵士たちの気高さ」に関しては割と鉄板で好きな題材で、最高峰は(映画じゃないけど)チームナックスの公演PARAMUSHIRの最終盤、重い軍旗を命がけで振り続ける兵士。泣く。
語るべきことはまだまだあるけど、今回はこんなところで。
自分の心に響いたシチュエーションを集めて行けば、自分が何を求めているのかが分かるのではないかと思ってつらつら書いてみた。ちょくちょく書き出していきたい。
最後まで読んでくれてあざす。少しでも共感できる部分があったなら嬉しい。
あと「そういうシチュエーションならこの作品で見たよ」とか「こういうのは琴線に触れる?」っていう話があれば気軽にコメントしてくれると嬉しい。こっちも気軽に読むので。